人が亡くなって相続が発生すると銀行口座の解約や名義変更、不動産の移転登記など様々な手続をお行う必要があります。そしてその際に決まって言われる事が

「被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍を集めてください」

という言葉です。

「え。亡くなった事がわかればいいんじゃないの?」

「戸籍って本籍地で取らないといけないんじゃ?昔の本籍地なんてわからないし」

「遠くの県にある役所に取りにいかないといけないの?」

と色々と疑問がわいてくるでしょう。

それに、被相続人に子どもがいなく、相続人が兄弟姉妹だった場合には被相続人の戸籍だけでなく、その両親の生まれてから亡くなるまでの戸籍も調べないといけません。

このように単に「戸籍を集める」という事でもかなりやっかいなこの手続き。どうしたらスムーズに行う事ができるのか。解説致します。

相続の際に必要な戸籍ってどう集めればいいの?

なぜ戸籍が必要なのか?

まずなぜ戸籍を集めなければいけないかというと、亡くなった方の相続人がだれなのか第三者が見てもはっきりとわかる様にする為に集める必要があるのです。
生まれてから亡くなるまでの一生の戸籍を揃える事で、その方がだれと結婚し子供をもうけ、また離婚や再婚の有無、養子の有無に至るまではっきりとわかるようになります。
相続人はその人の「子供」が第一順位の相続人ですから戸籍を集めることで、被相続人の子供が何人いて誰なのかがはっきりとわかるようになります。

また子供がいなければ親、親もすでに亡くなっている場合は兄弟姉妹が相続人になるので、被相続人に兄弟姉妹が何人いるか確認する必要があります。被相続人と兄弟姉妹を産んだのは両親ですので、両親の戸籍までさかのぼって調べる必要があります。

金融機関や法務局では間違いのない正確な相続手続を行う為にこれらの戸籍を要求するのです。

戸籍は何度も変わる

戸籍というのは結婚や離婚により新たに戸籍を作ったり、転籍や、法改正(平成6年、昭和23年等に改正があり戸籍が動いている)などによって新しい戸籍をその都度作成しています。
新しい戸籍にはその時点ですでに抹消された情報(すでに亡くなっている人や離別した人など)は基本的に新しい戸籍には記載されない為、新しい戸籍だけでは相続人全員の確認ができないのです。

その為、相続関係にある事を証明するには、被相続人の一生で作られた全ての戸籍をさかのぼって順番に取得する必要があります。

※戸籍謄本の例

戸籍の集め方

亡くなった被相続人の戸籍は個人情報の観点から配偶者。直系血族や、委任状を持っている代理人、国から許可された職務上請求書を持つ士業以外では取得できません。

戸籍の集め方は新しい戸籍から1つずつ前の戸籍にさかのぼって取得していきます。

例えば被相続人の現在の本籍地で戸籍を取得します。
そしてその戸籍をよく読むと本籍地の記載の下(もしくは左右)に「その戸籍が作られた日」と「その前の戸籍の自治体名」「その戸籍が作られた原因(転籍や婚姻等)」が記載されています。

例「昭和五十九年弐月壱日東京都小平市花小金井〇丁目〇番地から転籍届出」

この場合ではこの戸籍の前の戸籍が小平市にある事がわかりますので、小平市の役所に行き(または郵送で)その前にあたる戸籍を取得します。その戸籍にも同様に「その戸籍が作られた日」と「その前の戸籍の自治体名」「その戸籍が作られた原因」が記載されているのでたどっていき、最終的に産まれた時に存在していた年代の戸籍までさかのぼることができればクリアです。

戸籍の収集は郵送がおすすめ

なお戸籍の収集方法は実際に役所に行かずに郵送で請求する事ができます。
個人的には郵送(特にレターパック)での請求がおすすめです。

理由としては2つあります。
役所の本庁舎に直接行けば関係ありませんが出張所では昔の戸籍は取得できない場合がある点。
そして本庁舎の窓口はかなり待たされるからです。

例えば戸籍を追いかけていったときに被相続人の昔の戸籍が世田谷区にあったとします。

その際に世田谷区の本庁舎や北沢、玉川、砧、烏山の4つの総合支所であればどんな昔の戸籍でも取ることはできます。しかし太子堂や経堂、二子玉川にある出張所では戸籍謄本や平成改製原戸籍(戸籍のコンピュータ化に伴う改製前の戸籍)謄本などしかとる事はできません。

それ以前の戸籍は取ることができないので二度手間になってしまう場合があります。

そして世田谷区の様な人口の多い自治体の本局は窓口が非常に混みあっており、1時間以上待たされることもあります。ですから窓口の人に聞きながらやった方が安心という気持ちもあるとは思いますが忙しい方などは近場の役所であっても郵送で請求した方がいいかもしれません。

郵送での請求はどうするの?

遠方の役所への請求であったり、上で申し上げたように近場の役所でも忙しくていけない場合などは郵送で戸籍の請求をします。戸籍謄本等は郵送での請求が可能ですので積極的に利用しましょう。わからないときは役所の戸籍課に問い合わせたり、インターネットで役所のサイトで郵送先を調べたりしましょう。

郵送請求に必要な申請書などは役所のウェブサイトからもダウンロードできます。

また戸籍発行に必要な手数料は郵便局で定額小為替を購入して同封し納めます。

郵送請求の際に必要なもの

申請書(窓口か役所のウェブサイトからダウンロード)
身分証明書
定額小為替
返信用封筒(切手を貼る。もしくはレターパックがおすすめ)
(代理人の場合)委任状

戸籍の種類

取得する戸籍には種類があり、3種類のどれかにあてはまります。この種類についてもご紹介いたしますのでご参考になさってください。

現在戸籍

現在時点で使用している戸籍です。
筆頭者の本籍地の自治体に保管されています。

日常で戸籍謄本を取ってきてください。と言われたらこの戸籍の事を指します。
平成6年の改正で戸籍の全部事項証明という名前になりましたが、まだまだ戸籍謄本という呼び方が一般的かもしれません。
(なお戸籍の一部事項証明(戸籍妙本)とは戸籍の中の1人だけ(一部分だけ)の証明が欲しい場合に使います。相続の際には全部事項証明(戸籍謄本)を使うのが一般的です)

除籍謄本

戸籍に在籍していた人が、婚姻や死亡によって戸籍から外れ、全員いなくなった戸籍の事を言います。
除籍謄本は、除籍簿として作成年毎に編製され保管されています。
戸籍に在籍していたものが全員いなくなってから150年間保管されています。

改製原戸籍

戸籍は何度か改製されています。平成6年や昭和23年等です。

そしてそのたびに戸籍に記載された人に何も動きがなくても新しい戸籍に切り替わっています。

この改製によって生じた、改製前の戸籍の事を改製原戸籍といいます。

読み方は「かいせいはらこせき」「かいせいげんこせき」どちらでも構いません。

戸籍が改製された場合、その改製時点で戸籍に在籍している人の情報だけが、改製後の戸籍に引き継がれます。その為平成6年より前に亡くなった方や婚姻などで除籍になった方は現在戸籍にはのりません。

そのため、戸籍が改製されている場合は改製原戸籍を取得していく必要があります。

まとめ

このように戸籍を集めるには少々ポイントがあります。

①本籍地で現在戸籍を取る

②その戸籍を見て「その戸籍が作られた日」と「その前の戸籍の自治体名」「その戸籍が作られた原因」を確認する。

③「その前の戸籍がある自治体」へ戸籍を取り寄せる(郵送がおすすめ)

以下それを被相続人が産まれた時に有効だった戸籍までさかのぼる。

といった感じです。

基本的に1つの戸籍謄本を郵送請求すると1週間はかかります。その戸籍を見て次にどこの自治体の役所に請求するかを確認し、また郵送請求かけるわけですからスムーズにいっても2~4週間くらいは戸籍の収集にはかかってしまいます。

ですから時間に余裕を持ってはじめてもらいたいと思いますし、もし難しいと感じるのであればお近くの行政書士にご相談ください。行政書士は事実関係に関する書類作成に付随する業務として戸籍の収集を行うことができます。

お気軽にご連絡いただければと思います。